加川良 / 南行きハイウェイ

南行きハイウェイ '76年度作品 (紙ジャケット仕様)

南行きハイウェイ '76年度作品 (紙ジャケット仕様)

プロデュースを行った石田長生さん、それに中川イサトさんとともにメンフィスにて録音したアルバムが再発されました。数年前にディスクユニオンで、このアルバムだったか『駒沢あたりで』だったか、「最後の在庫です」といって置かれていたCDを買い逃してから、意外と短い期間をおいての再発となりましたが、それも納得の素晴らしいアルバムです。

他のアルバムに比べると演奏のリズム感の確かさは抜群で、トーキング・ブルース・スタイルで歌われる「ホームシック・ブルース」は、緩急織り交ぜた展開の中で加川さんの歌が冴える個人的ベストトラックです。からっとしたギターに重量感のあるベース、跳ねるようなドラムにご機嫌なピアノが重なって盛り上げたかと思うと、さらっと緩いパートに戻るあたりがとてもかっこいい。豪快なホーンセクションに後押しされて気持ちよさそうに歌われる「ジョーのバラッド」はちょっと吉田拓郎っぽいですね。カントリー〜ヴギ調の「カントリーハット・ホップ」やファンキーな「あの娘に乾杯」の他、比較的「日本のフォーク、カントリー」の色合いを残した「北風によせて」のような曲も、ピアノやバックコーラスが入ってきた途端がらりと色彩を変えたりして、このメンフィス録音は本当にうまくいったんだなあと思わずにはいられません。