Bill Destler / September Sky

数年前まではソフトロック関連で韓国のレーベルからの再発が盛り上がったり(とはいってもソフトロックのブームも下火となっていた時期でしたが)しましたが、ここ最近はフォーク〜SSW関連の再発の勢いが凄いです。アナログではとても手が届かなかったようなアルバムが毎月何枚も再発されているので、聴くのがなかなか追いつきません。

Bill Destlerの『September Sky』もつい最近再発されたもので、オリジナルのリリースは1973年。弾き語りの、内向性の強いフォークスタイルの曲が大半を占めています。このレーベル(Big Pink)からの再発シリーズの中でも特に素晴らしくて、気に入って何度も何度も聴き返しています。

メロディー良し、歌良し、ギターの音色も良しですが、耳が向くのは何よりも歌やギターやバンジョーの音の後ろにある何も鳴っていない部分です。絵画でも余白で魅せる作品がありますが、それと同じように、歌やギターなどの音が鳴り続けることによって浮かび上がってくる何も音が鳴っていない部分が、耳を、あるいは心を、強く惹きつけることがあります。その音の鳴っていない部分を「空気」と呼んでもいいような気もしますが、それではまだ伝わりきらないようなものがあります。

ひどく抽象的な感想なのですが、でも余白のようなところに心惹かれるというのはこの手の、あまりメジャーでないフォークアルバムを聴いていればよくあるというか、そういう余白の部分こそこの手の音楽のいちばんの魅力ではないかと思います。