The Pastels / Illumination

Illumination

Illumination

Amazonなどで注文したCDが、届くまでに時間がかかっている時ほど落ち着かない気分の時はありません。もう頭の中はこれから届くであろう音楽を聴きたいという気分に切り替わっているので、今さら全然違うタイプの音楽を聴き始めようかという気になりません。Amazonからの発送完了メールを待ちながら(さっき届いた)、やっぱりタワレコに買いに行けば良かったかなとも思いながら、落ち着かない気分で過ごしております。

The Pastelsの『Illumination』はそういう気分の時でも聴くことができる貴重なアルバム。空気のような、というのとは少し違いますが、「呼吸をするように」自然体で聴くことができるアルバムです。

自然体というのはなかなか難しくて、作り手の自然体は必ずしも、というかたいてい聴き手にとって自然体ではない。そもそも作り手の自然体って本当かという話は置いても、The Pastelsの初期の作品だって、自然体でやってるなあと思わせる部分はありますが、今のこういう気分の時に呼吸をするように聴けるかというとそうでもありません。初期の頃は本当にスティーヴン・パステルとその他という印象で、音楽的にも彼のヘタウマな歌とその他の演奏という雰囲気でしたが、このアルバムでは(あるいは前作あたりから)歌も演奏も良い意味でカドが取れて調和しています。

ティーヴン・パステルだって別にわざとヘタに歌っていたわけでもないのでしょうけど、初期の彼らの音楽を聴いていると、それでもこれが自分たちの音楽なんだという気負いを感じます。それが若さというものかもしれなくて、むしろそういう気負いのある方が良いと感じる気分の時もあるのですが、今はこういうゆるやかな音楽を、息をするようにゆったり聴きたい気分です。