Life Is A Stream / Chuck & Mary Perrin

Life Is a Stream

Life Is a Stream

中学生のころからずっと音楽を聴き続けているのですが、そうすると次第に音楽を聴くという行為に慣れてしまって、最近では音楽を聴いて震えるほどの感動を覚えたり、生まれたてのこどものようにフレッシュな気持ちにさせられたりすることはほとんどなくなりました。まあそれは仕方のないことで、電車を見て喜び、ミミズを見て大はしゃぎするこどもは大勢いても、同じようなことではしゃいだ気持ちになる大人なんてまず見かけないように、年を重ねるごとに世界は次第に色あせて、色鮮やかに見えるものは身近な場所から姿を消してしまいます。(姿を消すというか、消えないのですが、色鮮やかなものを鮮やかだと感じられなくなるのですね。ぼくの目はまるで強すぎる紫外線を発しているかのようで、視線を送るたびに様々なものが色あせてゆきます)

The Last Word

The Last Word

昨年、Rev-OlaがリイシューしたChuck & Mary Perrinのアルバム『The Last Word』(『Brother and Sister』と『Next of Kin』という2枚のアルバムをまとめたCD)は本当に久々に、震えのくるような感動を味わった作品でした。アコースティックギターとピアノによるシンプルな演奏と、兄妹の生み出す冷たい冬の朝もやのように儚く美しいハーモニーは一点のシミも見つけられないほど純粋で、その素晴らしさに言葉も失ってしまいます。(朝もやといってもアシッドフォークとかそういうのではなく、もっとピュアなのです)

そんなChuck & Mary Perrinが1971年に発表した3枚目のアルバムがとうとうCD化されました。『The Last Word』のライナーノーツで、3枚目もたぶんCDで出しますというような記述があったので楽しみにしていたのですが、まさかこんなに早く聴くことができるとは考えてもみませんでした。

この3枚目のアルバム『Life Is A Stream』は、やり手のプロモーターであったピーター・ライトがバックアップしたこともあって、静謐なフォークといった趣の1枚目、2枚目と比べるとかなりポップなアレンジが施されています。ぼくはどちらかというとフォークよりの音楽が好きなので、最初きらびやかなストリングスの音色を耳にした瞬間はちょっとこれはと思ったのですが、しかし澄みきった空気感はやはりChuck & Mary独特のもので、聴くたびに愛おしさも深まってゆきます。フォークは普段聴かないという人には、もしかするとこちらのアルバムのほうがなじみやすく感じられるかもしれません。カーペンターズのカレン・カーペンターがこの兄妹の音楽を気に入って二人に手紙を書き、出来ることなら二人の作品をカバーしたかったと語ったのも、この作品を聴いての事。

Maryは残念ながらすでにこの世を去りましたが、今も現役で活躍するChuck Perrinのオフィシャルサイトには詳細なバイオグラフィーとともに、多くの曲のMP3データが無料でダウンロードできるよう掲載されています。

  1. Brother & Sister(1st Album)
  2. Next Of Kin(2nd Album)
  3. Life Is A Stream(3rd Album)

買うほどでもないけど聴いてみたいという方は上記リンクからどうぞ。全曲素晴らしいのですが、分かり易いのはファーストだと「Morning」という曲、セカンドだと「Bye Bye Billy」、サードだと…試聴だけでは分かりづらいかもしれませんが、「Life Is A Stream」のヴォーカル版。本当に素敵なのです。