ORANGE RANGEの盗作騒動

オレンジレンジに盗作騒動 (ゲンダイネット)

 安倍なつみ浜崎あゆみに続き、またもや大物シンガーに“盗作疑惑”が浮上した。

 疑いの目が向けられているのは、昨年のNHK紅白歌合戦にも出場した若者に人気のグループ「オレンジレンジ」。シングル盤「花」は昨年、唯一のミリオンセラーを記録。秋には映画「いま、会いにゆきます」の主題歌に使われるなど、今が旬のグループだ。

 そんな彼らの楽曲に「盗作じゃないか」との嫌疑がかけられているのだ。

「ファンの間では昨年からひそかな話題になっていました。それもキッカケは紅白。オレンジレンジが『ロコローション』を紅白で歌った時、テロップの作詞・作曲がシングルCD発売時の『オレンジレンジ』から『Carole King、Gerry Goffin』に変わっていたんです。それで疑惑が噴出しました」(音楽関係者)

 NHKは「表示の変更はレコード会社からの注文。その前に発売されていたアルバムでも変更されていたので、それに準じました」という。

 問題のアルバム「musiQ」をみると、確かに作詞・作曲者の名前が修正されていた。しかも、盗作疑惑は1曲だけではないようなのだ。

オレンジレンジの曲には他の曲の一部を意図的にまねたものがあり、本人たちも『パロディーだ』と公言していました。しかし、クレームが殺到したことで、慌てて作詞・作曲者を本家の名前に変えたのではないですか」(事情通)

 レコード会社のソニー・ミュージックは「担当者が不在」の一点張り。ぜひ、きちんと説明してほしい。

ネタ満載のゲンダイに反応するなんて僕もダメだなと思うんだけど、これは前から各所で話題になっていたもの。僕も前にちょっとコメントしてたんだけど消しちゃったので再エントリ。今さらな感じもするけど。それにしても「ロコローション」がヒットした時に思ったんだけど、「ロコモーション」もキャロル・キングも知らない人が多いんだよな。こういう形ででも知ってもらえれば良いんでないの?そういう問題でもないか。どうせならカイリー・ミノーグじゃなくリトル・エヴァで聴いてやってください。

それはそれとして今回の盗作騒動。まず大前提として、オレンジレンジはかなり他の人の曲をパクってる。

オレたちの中の合言葉は〈パクろうぜ!〉です(笑)

bounce.com

本人たちが言うんだから間違いない(笑)問題は、どこまでなら許されるかだよなあ。僕にも良く分からないというか、ミスチルってあれエルヴィス・コステロじゃないの?とか、実際詞やメロディの盗用なんてのはかなり公然と行われているわけで、違法かどうかの線引きをどこでするのかよく分からない。サザエさんのED曲は長いこと"Bubblegum World"というバブルガムミュージックのパクリだったけど、あれは誰も糾弾しないの?*1

日本のポール・サイモン・ファンサイトの「ポール・サイモン大事典」というコンテンツに「小沢健二」の項目があり、興味深いやりとりがあったので引用してみる。すべてみたい人はhttp://still-crazy.cool.ne.jp/dic/dr.cgi?key=75をどうぞ。

「僕らが旅に出る理由」たった一曲によって、日本のポールファンに永遠にその名を刻みつけた希有なミュージシャン。この曲のアレンジは「追憶の夜」と「コール・ミ−・アル」のブラス・セクションに酷似しており、一瞬本物かと錯覚してしまうほどだ。
ポールの曲が2曲も、しかもここまでそっくりだと「単なる偶然」とはどうしても考えられず、小沢がポールの曲を「参考にした」のは明らか。その行為についてはポールファンの間でも賛否両論あり、「完全なパクリだ」と怒る者から、「いや、ポールのファンだからこそ真似てるんだ。微笑ましいよ」と容認(?)する者までさまざまである。
だがひとつ確かなのは、あの曲をきっかけにポールに興味を持ち、ポールのCDを買ってみた…という小沢健二ファンの方もいるということ。その事を思うと、小沢は彼なりのやり方でポールの音楽を広めているともいえ、そんなに腹も立たなくなる…かも。

なるほど。次。

私の友人の定義によると、他人の楽曲のメロディ・ラインやその他の要素を、変奏・変形させ、そのことをひたすら隠し、あたかも自分の手による作品として発表することは「盗作」であり、一方で、一度聴いて完全なパクリだということが明白な場合には、オリジナルの作品や作家に明らかに借りがあることが表明されているので、盗作の域を越えて、「許容」できるものだそうです。(一番分かりやすい例は、ラップ・ミュージックの過去の作品のサンプリングのテクニックでしょうか)。

僕もこう考えたいけど、パクられる側の気持ちを考えるとなかなかそうとは言いづらい…。

敬愛するミュージシャンの影響を、最良の形で表現してる歌で僕が思い浮かぶのは、大瀧詠一佐野元春杉真理ナイアガラトライアングルの「A面で恋をして」です。この曲の元ねたはバディ・ホリーのEverydayですが、よ〜く聴けば、それがちゃんとわかるようになっているし、原曲へのレスペクトもちゃんと伝わってくるし、かつオリジナリティもあるし、小沢さんも、これくらいの工夫をしてほしかったですね。

ふむむ。大瀧詠一はオールディーズから結構盗用しているが、盗作として非難する人はそんなに見かけない。リスペクトの問題だろうか?敬意を払えばパクリじゃなくオマージュになるのか?線引きできない気がするけど。

他に盗用で有名なアーティストといえばB'zがすぐに浮かぶ。まあこの辺は「B'z パクリ」でググると無数に出てくるので省略。あとモーニング娘。も多かったけど、これも面倒なので省略。

個人的には、「大瀧詠一みたいにリスペクトがあるなら許すけどオレンジレンジみたいに軽薄なのは勘弁」というのは身勝手なダブルスタンダードくさいのでパス。「オレンジレンジはパクリばかりなのにシングルはCCCDで出しやがって」という怒りは僕にもあるけれど、それと盗作問題を絡めてしまうとただ単に出る杭を打っているだけで、日本の音楽業界に根付く根本的な問題は解決されない気がする。「てか、おまえらオレンジレンジ叩きたいだけだろ?」で終わりだ。「盗用でも楽しけりゃいいじゃん」というオレンジレンジ信者は論外だと思うのだけど、こうしたパクリが半ば公然と行われている音楽シーンでなぜオレンジレンジがだめなのかというところを掘り下げていかないと、なんか説得力がないなと感じてしまうよ。

ところでところで、日頃は口を開ければ著作権JASRAC日本レコード協会、何してるんだろ?一般人相手には強気でも、身内のレコード会社が絡むと沈黙なんですかねぇ。

*1:と書くと誤解されそうだけど、僕は筒美京平御大の作った曲は大好きですよ。